ALONE
俺は左の男へ



シュウジは右の男へ



猛然とダッシュする。



俺の相手も向かってきた。


男は拳を構える。



それを振り抜こうとしたその刹那



それを見て俺は



口の中の



唾を一気に相手の目に吐いた。



視界を遮られ苦悶する男の拳は空を切る。



俺は素早く男の横に回り込み



壁に立て掛けた木の枝を折るように



男の左足目掛けて



躊躇なく右足を振り下ろし



男の左足をへし折った。



苦痛の叫び声をあげ足を抱える男。



やり方が汚い?



冗談言うな。



やらなきゃやられる。



教科書に乗ってる戦術はこいつ等に通用しない。



俺達の負けは即ち死だ。





俺は自分の相手が再起不能であることを見届けると



シュウジを見た。





…?




いない。




しかしシュウジの相手の男はいる。



一体どこへ?



その時男の様子がおかしいことに気付いた。



どこを見ている?



視線の先は…





上。
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