ALONE
高い…。




シュウジは壁を使って地上から遥か高く舞い上がり




長い滞空時間をフルに使い



腰を回して反転しながら反動をつけ




昔の格ゲーかなんかでしか見たことのない



絶妙な空中回し蹴りを男のこめかみにブチこんだ。







エレベーターを飛び出してから15秒。



立っていたのは俺達だった。



俺はしなやかに着地したシュウジに言った。



『…お前…昔なんかやってたろ』



またシュウジは笑う。



『えぇ昔バレェを少々♪』


シュウジはつま先立ちをしてみせる。







…ハッタリ野郎。



『…お前ホントうぜぇ』



『言いたいこと色々あるやろうけど今は逃げるんが先や。行くで♪』



俺達はエントランスを駆け抜け



シュウジは停めておいたゼファーの上にまたがると



俺はその後ろにまたがり





夜の歓楽街を後にした。






昨日とは違う







勝利の余韻に浸りながら。
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