ALONE
『それと…報じられた犯人像が俺らと掛け離れとるのは恐らく奴ら自身が俺らを捕まえたいからやろ。

それしか筋が通った理由が見当たらへん。

ただわからんかったのは…

代わりに報じられた事件がなぜ強盗殺人かって話や。』



『…確かに。

俺らを自分達だけで捕まえたいという目的だけなら

でっちあげるのは犯人だけでいい。

あんなありもしない強盗殺人なんて…』



俺がそう言うと



シュウジは静かに目を閉じる。






コイツと関わって半年ほど。



次第にシュウジのクセや習慣もわかるようになってきた。



どんなに寒い日でも缶コーヒーはアイス。



毎週週末は血の繋がっていない妹への電話を欠かさない。



人をからかう時はウィンクをするように一度片目をつぶる習性があり…



そして静かに両目をつぶる時は









マジな話をする時。





シュウジはまた静かに目を開く。



『…ジン、こっからは俺の想像で話すで?』






『うん…



言えよ。』



シュウジの「仮定」の話は誰よりも信頼出来る。



こいつの未来に対する『多分』や『恐らく』は



半々なんて確率じゃない。



幾重の修羅場をくぐってきた経験に基づきはじきだされる。



人を星人に例えてテレビで偉そうに語る怪しげな占いのバァさんなんかより



よっぽど当たる。






そしてシュウジは









俺の理解を超えた『恐らく』を言葉にした。
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