ALONE
スタートラインにつく選手達。


残暑の陽射しが厳しく


じっとしているだけでも汗がしたたり落ちる。


先輩は第3レーン。


遠くを見ていた。


それを見た隣のレーンの奴が言う。



『俺らのことなんか眼中ないって感じだな』



先輩


『…アンタは…なんのために走ってんの?』


『は?何って…勝ちたいからだよ』



位置についてのアナウンスが響き


選手はしゃがみ込む。




先輩は言った。



『勝ちたいか…。羨ましいよ。』




『……なんだお前?』



よーい







パンッ



乾いたピストルの音が鳴り


選手達は一斉にスタートした。


ただ…




一人を除いて。
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