ALONE
俺達はシエスタへやって来た。



瀧本と交渉をしたあの日と同じ開店前のバー。



店内には瀧本の姿はなく



あの日と同じ円卓に並べられた3つの椅子の一つには



ヨシアキが座っていた。




『御呼び立てして申し訳ない♪』




ヨシアキはそう言うと静かに足を組み直し



俺達を迎えた。



俺とシュウジは椅子に腰掛ける。



『で、用事はなんなん?』



シュウジがそう言うと。



いつからいたのか



暗いフロアの奥に一人立つ男にヨシアキは目で合図をした。



『今日は紹介したい奴がいるんだ。』



ヨシアキからの合図で一度姿を消したその男は




一人の若い男を連れてきた。



いや…



連行してきたと表現したほうがいいのかもしれない。



その若い男は一言で言えば挙動不審。




今自分はなぜここにいるのかもわからないといった感じ。



ただ何かに怯えている。




『誰やこいつ?』



ヨシアキは微笑む。






『死人だよ♪』
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