ALONE
屋上


先輩の話が終わる頃あたりは暗くなっていた。


俺は何て言えばいい?



大変でしたね



違う…



すごいですね



違う。



そんな一言で終わらせてしまうようなことは出来ない

この胸の高鳴りを


ナイフで切られたかのような痛みを


泣き叫びたくなるような衝動を


俺は言葉に表せずにいた。



俺は先輩に聞く


『まだ…好きなんですか?その人。』


一瞬間があく


『好きだよ♪なんつーか…管鮑の交わりってやつなんだ。』


『管鮑の…交わり?』


『中国の古いことわざで、お互い十分理解しあってて、利害とか関係なく変わることのない付き合いが出来るって意味。こんなの初めてなんだ。』


『へぇ。先輩…頭イイっスね』


『まぁ実際コレ恋愛関係には使わないらしいんだケドな♪』


『そうなんスか…勉強します』


『もう遅いし、そろそろ帰るか♪奥さんお家で待ってるだろうし♪』


『奥さん?誰の?』


『いや俺の』


『!?』
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