ALONE
『ねぇ。名前教えてよ。』


偉そうに…



『…ジン。榊ジン。お前は?』


『じゃぁジン♪どっか連れてって♪』


『…お前人の話聞いてんのか?』


『アタシ遊園地とか行きたいなぁ♪』


『勝手に行けよ。俺は帰る。』


『じゃぁアタシも連れてって…』


急に哀しそうな顔をする。

路上に捨てられた猫のような。


『なんでだよ。さっき電話してきたのお前の家の人じゃないのか?心配してんじゃないのかよ。』


『心配?そんなんじゃない。あの人達は私を飼い殺しにしたいだけ…』


怒りに満ちた形相。


女は親指の爪を噛む。


『…なんかワケありっぽいな。でも悪いが俺には関係ない。俺は帰るよ。』


『…じゃぁ死ぬ。あんな家に帰るなら死んだ方がマシ。』


『お前…家出てきたのか?』


『…うん。』


『理由は聞かない。でも人間ってのは大なり小なり色々抱えてんだ。自分だけが不幸なわけじゃ…』


『知った風な口きかないで!あなたに何がわかる!一回寝たくらいで何様のつもり!?』
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