ALONE
『…サン…ちょっとお兄サン!』


…誰だこのおばさん…


『ちょっと大丈夫!?救急車呼ぶ!?』


…あんまり耳元でがなるなよ…

俺は…


我に帰って跳び起きた。


空はもう暗い。


車も消えていた。


だせぇ…


俺一撃でノされたのか…


『あ、もう大丈夫っス。ちょっと気ィ失ってたみたいで…』


『そうなの…。でも一応病院には行った方がいいわよ?あ、それとこれあなたの携帯?』


女のだった。


『そこに落ちてたのを息子が拾ったみたいなの。違う?』


おばさんの隣でちっちゃい男の子が俺を心配そうに見ていた。


『いや…俺のっス。ありがとな坊主。』


男の子はニカッと笑っておばさんと去って行った。




『さてどうしたもんか…』



急にケータイが鳴った。


もちろんそれはあいつの。

俺は出た。
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