ALONE
『本条財閥の長女(15) 自宅にて首吊り自殺』







あぁ…





俺は何て無力なんだろう。





学校に着いて屋上に行くと



そこにはひと月半ぶりのトオル先輩がいた。


本を見入る先輩は顔を上げ

微笑む。


『おはよう色男♪』


俺は軽く会釈をして


先輩の横に腰掛けた。


先輩は勘がいい。


何かを悟った先輩は優しく俺に言った。


『何か…あったか?』




あのね先輩


ホントはたくさん話したい事があります。


でもそれを言う強さが今の俺にはありません。



多分それを言ってしまったら…






感情が水いっぱいに注がれたコップから溢れるように

俺は自分を抑える事が出来なくなってしまう。


強くなりたいです。


あいつのような強さが欲しいです。



俺は先輩に精一杯声を振り絞るようにこう言った。



『出会いが…



ありました。



そして…




別れがありました。』


先輩は優しい声で


『お疲れ。』


そう一言だけ言うと




俺の背中をさすってくれた。




俺はその日




声が枯れるほど泣いた。
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