ALONE
カイトは俺の一歩前を歩きながら自分の事を話し始めた。


『俺さ、小中の時ひどくイジメられてたんだよ。』


『…』


『顔が女っぽいだとか色々理由つけてさ、教室で全裸にされたり口の中唾吐かれたり…加減しらねぇ奴には爪まではがされたよ。』


『…抵抗しなかったのかよ』


『ハッ。これだから生れつきのヒーローは…。そんなこと出来るわけねぇだろ?俺は復讐が怖かった。』


『…』


『お前には理解できねぇだろ?俺は生れつきの弱者だった。世界中の罪を俺一人で被ってんじゃないかとも思ったよ。理不尽な世の中に毎日泣いた。死のうとも考えた。俺の居場所がこの世にはなかった。』


『…』


『でも死ぬ勇気もなかった。そしたらなんか笑えてきてな。気付いたらいつも何されてもバカみたいにヘラヘラ笑うようになったんだ。』
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