ALONE
しかし次の奴の言葉が俺を戦闘態勢へと仕向ける。

『まるで去年の夏に族をコテンパンにノして走りまわっとったどっかの…』

そこまで奴が話すと俺は素早く顔を上げて睨みつけた。

赤い短髪、胸にはドクロのネックレス、服装は黒のベロアのパーカーを裸の上に一枚羽織り、下は白のスウェット。

the ヤンキー

予想は確信に変わる。

『…お前誰だ?』

『ちょい待ち。俺は別にアンタとヤろうなんて思うてへん。むしろ感謝しとるくらいや。』

…関西弁?

いや今それよりも疑問なのは…

『感謝…?』

『去年ここいらにいくつ族があったか知っとるか?』

ここいらをなりわいにしていた族は4つ。

県境が近いこの町は族の無法地帯だった。

ポリに追われても簡単に隣の県へと逃げられる。

そこまでいけば追ってるポリの管轄外。

奴らにこの町はうってつけの場所だ。

『4つだろ?』
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