ALONE
『ウチのメンツが動き始めたんはアンタが暴れ始めた去年の夏。アンタが派手に動いたおかげでウチらが潰したチームはアンタが潰したように周りは感じてたんや。』

理解した。

『なるほどね。それで俺をスケープゴートにしたわけだ。』

『いや言うておくけど俺等にとってアンタが暴れたんは嬉しい偶然やったんや。なにも意図的に利用したわけちゃう。まぁ結果ウチらはだいぶ動きやすかったわけやけどな。』

別に偶然だろうが意図的だろうがそんなことはどうでもいい。

まだ疑問はあった。

『4つのチームが消えた理由はわかった。でも俺はこの一年アンタのチームが群れをなして走ってるところに遭遇したことがない。この町を支配したお前らが目障りなチームが消えた今自由に走り回ってない理由はなんだ?』

奴はまた口元だけで笑う。

『支配…か。ウチらをそのへんの族と一緒にせんといてもらえるか?榊ジン君♪』

俺は奴に名乗っていない。

『さすがに驚いた顔しとるね。ウチには優秀なデータ収集係がおんねん。アンタのコトは調査済みや。』
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