ALONE
『俺の顔や名前もわれてるなんてずいぶん優秀なデータ収集力だな』

『いや、顔までは今会うまで知らんかった。あのな、アンタは知らんかもしれんがこの町にはまだウチらに潰された族の残党がおったんや。まだアンタに潰されたと勘違いしとったアホな連中がな。それこそアンタを半ば殺すつもりで。』

今年の春、カイトとの一件でナイフを持った奴に襲われたことを思い出した。

『そいつらも今はウチらがこの町から完全に駆除したんやけど、未だにこの町でFXを走らすのは自殺行為…いわばタブーなんや。』

コイツの説明は親しみを感じるほどわかりやすい。

『だから今この町でFXを走らせとんのはよっぽど無知なアホか…』

『本人しかいないわけか。』

『そう。そんでウチらがそいつらがいなくなった今この町で走っとらん理由…』

その時奴の携帯がなった。
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