ALONE
朝が来る。

今日も眠れなかった。

ただいつもの眠れないのとは意味が違う。

人のせいにするのは自分の主義ではないのだが

今日は間違いなくあいつのせい。

あまりに謎だらけのニセ関西人。

俺は考えるのをやめて学校に行く支度を始めた。

一階の和室へ行き

兄貴の仏壇に線香をあげ

朝から株の取引に夢中でノートパソコンににらめっこ状態のじいさんを横目に

鞄を片手に家を出る。



家を出て3歩

招かれざる客に遭遇。




『おはようジン♪』




真紅のゼファーにまたがるニセ関西人。

住所までわれてんのかよ…

『…何してんの?』


『いやぁ、ちょいとジンと親睦を深めたい思うて早起きして来てん♪』


昨日俺はコイツを買い被り過ぎたようだ。


『アンタさ…』

『シュウジや。飯塚シュウジ。ちなみにジンより3つ年上なんやで♪』

3つって…

ハタチ?

マジかよ…

トオル先輩より年上じゃん…

『あぁそりゃ失礼。で、シュウジさん。知っての通り俺は高校生。今から学校に行かなきゃならんわけ。わかります?』

『知っとるよ。でも俺今日仕事休みなんやもん。遊んでや♪』
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