ALONE
公には『私のこのような政策がもたらした成果が実を結び…』

と言いながら

裏ではまるで道理に反する武力行使で害虫を駆除する。

人はそんな事実を知ることはない。

良く言えばクレバー

しかし俺から言わせれば…

ガキ同士の喧嘩に自分の物欲を見出だした薄汚い大人。

『そして暴力団幹部の奴。これはもっと事情がディープやな。』

シュウジは通り掛かった店員にアイスコーヒーのおかわりを頼む。

『今や暴力団もビジネス。昔みたいに目がくらむ大金がわんさか動く時代は終わってもうた。だからターゲットは今金持ちより暇と小金を持て余すガキの小遣いなんや。』

だいたい話の筋が見えた。

核心は恐らくガキの喧嘩に絡めた暴力団同士の…

『…市場闘争。』

俺はそのフレーズだけ声に発すと

シュウジは喜びの笑みを浮かべた。

『ジンはやっぱそのへんのガキとちゃうな。その通り。まさしくこれは市場闘争や。ウチのチームにおる幹部の組は今正にもう一つの組…同じ規模のライバルと抗争中なんや。』

シュウジは続ける。

『そのライバルがこの町の暴走族と癒着してある事業を2〜3年前から始めた。何かわかるやろ?』
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