ALONE
『実はな、アンタの事を調べ始めたんは去年の夏よりもっと前…つまり俺はジンのことだいぶ前から知っとった。』



ますますわからない。



『だからこうやってじっくり話すにはアンタにこの町を自由に走ってもらわんと困る。じゃなきゃ俺と会う接点が生まれん。』


俺はシュウジの話に割って入る。


『ちょっと待てよ。偶然装って会ったりしなくても直接俺を訪ねてくりゃいい話だろ。』


うんうんとシュウジは頷く。


『そやな。でもいきなりアンタの家訪ねて出て来い言うても信用せんやろ。』


こいつは何を言ってる?


『…信用?』


『せや。俺にとってこの町から族を消すことは、これからアンタに俺の力を信用してもらう上で絶対不可欠な事やったんや。』


…まだわからない。


コイツが自分の力を俺に示して何になる?


『まぁその話はまた後で話したるわ。もう一つの理由をお前に見せた後でな。さて…そろそろ行くで。』
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