雨の恋路
「さ~て、そろそろ戻ってみよっか?」
「うん、そだね♪」
「じゃぁ、はい。お姫様?」
そう言いながら差し伸ばされた光の手。
「こっ……ここ学校だよ!?恥ずかしいよ……」
「だからじゃん。雨美は俺んだって皆に見せびらかしてやるんだ」
そう言ってニカッと笑った光の笑顔にキュンとなるあたし。
光は「ほらっ!」と言いながらあたしに向かってさらに手を差し伸べた。あたしがその手にそっと自分の手を置くと、光は嬉しそうに微笑んでギュッと握って歩きだした。
みっ……皆見てるよ~。
皆が見てる恥ずかしさで、あたしは下を向いて歩いていた。
「雨美」
急に光が名前を呼んだのであたしはパッと顔を上げた。
そこにはすぐそばに光の顔があって、ちゅっと音を鳴らして一瞬触れるだけの軽いキス。
「なっ……!」
信じらんない!
皆見てるのに~(涙)
「雨美が下向いてるからだよ♪」
恥ずかしさと嬉しさで真っ赤になるあたしの顔。そんなあたしを満足そうに見つめる光。
あたしの頭の中は真っ白で、真っ白のままあたし達は屋上に向かった。