雨の恋路


「……行っちゃった」



「だな」



「でも本当によかった。亜由ちゃん幸せそうだったもん」




あたしがそう言えば光はあたしの髪をクシャと触った。




今気づいたけど、光は人の髪を触ったりするのが癖みたい……。











どうかその癖があたしだけのものになりますよう…-









「んっ?何考えてんのかなー♪」



「何にもっ」





「本当かよ~」





光はクスッと笑うとあたしの額を指で弾いた。





「……いひゃい……」



あたしが両手で額を押さえ頬を膨らますと今度はブハッと弾けたように笑った。光は「ごめんごめん」と謝りながらあたしの頬に手を添えそっと唇にキスを落とした…-


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