雨の恋路


光がゆっくりと話し出すのを、あたしはただ光の腕の中で聞いていた。



「ちょうどテスト週間で勉強するかって友達となってさ、近くのファミレスに入ったんだ。その時そこでバイトしてたのが咲希で……。正直一目惚れだった」



光の『一目惚れ』と言うことばにズキッと痛むあたしの心。でも、駄目。人にはそれぞれいろんな恋があったんだから……。こんなことで傷ついちゃ…駄目……。





「俺はそれから1人で毎日通い続けたんだ。そしたら咲希から『今日も来てくれたんですね』って話しかけてくれて、それから少しずつ話し始めて……」




光の言葉にあたしはコクリと頷くだけ。





「アドとか番号も聞いてさ?メールしてさらに仲良くなって、電話もするようになったんだ」




あたしの知らない光と咲希さんの思い出……。考えるだけでも胸が張り裂けそう…-





「それで俺、思い切って告白したんだ。出会ってたった2ヶ月で」




「……どうだったの?」




「OKだった。…自分が1番驚いたよ。咲希は高2だったし、まさか中1のガキから告白されてOK出すなんて思わなかったから」






「咲希さんも光に惹かれてたんだね……」




「でも、咲希は中学生と高校生って壁をすごく気にしてた。デートって言うデートはしなかったし、お互いの家に行くだけだったんだ」






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