雨の恋路


「兄貴……?」




嘘っ!りっくん!?





咄嗟に今の自分の格好を見る。
幸いにも、下はスカートやパンツをはいているものの、ブラウスは脱がされブラジャーは外されていた。





急に、ものすごい恥かしさが込み上げ、あたしはブラジャーを着けブラウスを着る。






「雨美?」






光の声なんて届かず、乱れた髪を手でとかし、鞄を持って光の部屋を出た。






「ちょっ、雨美!?」






「ごめん、光!また明日…っ」








「ちょっと待てって!」





あたしは光の言葉を聞かず、一目散に階段を駆け下りた。





「あれ?雨美ちゃん?」




「りっくん……その…お邪魔しましたっ!」





「えっ?雨美ちゃん…!?」






そして一瞬見えた、りっくんの隣にいた咲希さんは、なぜかすごい剣幕であたしを睨んでいた。





しかしあたしは、それを気にする余裕はなく、考える前に光の家を飛び出していた。
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