雨の恋路
「もしかして…もしかしなくても……邪魔しちゃった?」
「ああ、かなり」
「ごめん、ひかる~!講義が早く終わってさ~」
あまり詫びる様子のない兄貴。どっちかってーと楽しんでいる様な……。
「でもそっか~、光も雨美ちゃんと……」
「うっせーぞ、この馬鹿兄貴」
「そっか~♪」
俺の言葉は今の兄貴には聞こえないみたいだ……。
俺はリビング全体に伝わるくらいのでっかい溜息をついた。
「ねぇ光」
そう話しかけてきたのは咲希。
「なに?」
「雨美ちゃんとのこと……詳しく聞かせてよ♪」
そう言って咲希は笑い、「早く早く」とソファーに腰掛けることを命じた。