雨の恋路


「でも」






「でも?」







「俺と雨美が別れるなんて、絶対ないね」









「……そう」









その時の咲希は悲しそうにそう呟いた。
そしてその倍、咲希の瞳は恐ろしかった。



まるで誰かを恨んでるような、妬んでいるような……。そんな咲希を初めて見た俺は、声がかけられなかった。








「じゃっ…じゃあ俺、部屋もどるわ!」






「はっ?ゆっくりして行けばいいじゃねーか」







「いや、課題やってねーんだわ。じゃ」







そう言って俺は逃げるようにしてキッチンを出た。


何故かあの場に、これ以上いてはいけないような気がして……。
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