雨の恋路


「どうしたんですか?光は今日、委員会で遅いですよ」




と気にしてない素振りで笑顔を向ける。

本当は光に何の用だろう?と、心の中は疑問や嫉妬でグチャグチャだ。





しかし、咲希さんから出た言葉はあたしの予想とは遥かに違っていた。








「今日は雨美ちゃんに用があって来たの」





「えっ?」







「今、時間あるかな?」






今日は早く帰ろうと決めたばかり……そして何だか嫌な予感がして、誘いを受けたくなかったが、咲希さんの断りを許さない様な笑顔を向けられあたしは、小さく頷き「はい」とだけ答えた。





咲希さんは「ありがとう」と微笑み、近くの美味しい喫茶店を紹介すると言って歩きだした。


そして隣に並んで歩くことに躊躇いを感じたあたしは、少し離れながら咲希さんの後ろについて行った。



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