雨の恋路


咲希さんが紹介してくれて喫茶店は、とても綺麗なところで、あたしには一生縁のなさそうな場所だった。



ただオススメの喫茶店に連れて行ってもらっただけなのに……咲希さんとの、格の差を感じさせられた。





「紅茶でいい?」




「あっ、はい」




そう言うと咲希さんはニコッと笑い、ウェイトレスに注文をする。






そして、しばらくの沈黙。





「あたしに何か用なんですか?」
そう言おうとした言葉は、咲希さんの言葉によって遮られてしまう。







「光のこと好きなの?」





「えっ?」








思いもよらない言葉が降ってきたあたしは、思わず聞き返す。





ニコッと笑った咲希さんは、もう1度「光のこと。好きなの?」と聞いた。



今度は聞き逃さないよう、ハッキリと。


















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