雨の恋路
「知ってるなら話が早いわ。光は返してもらう」
「光は物じゃありません。それに今光と付き合ってるのは、あたしですから」
そうよ。
咲希さんなんかに負けない。
「あたしは光が好きなの。光だって本当はあたしのこと、今でも思ってくれてるはずよ?」
「そんなことありません」
咲希さんの目をまっすぐ見た。
一瞬揺らぐ、咲希さんの瞳。
「一度は咲希さんから手放して、光を傷つけたんですよ?それを今さら……」
「光が、あたし以外の女と付き合うなんて思ってなかったの!」
急に大声を出した咲希さんに、
あたしは言葉が出なくなった。
いつもと……様子が違う。
咲希さんは大人で冷静で、落ち着いている人だと思ってたのに……こんなに取り乱してる。
だからって、光をあげるなんて……出来るわけない。
光は物じゃないし。
それに、あたしは光を愛してる。
それはきっと
咲希さん以上に…-!