雨の恋路
「じゃあ、これは知ってるかしら?」
「……何ですか?」
綺麗に弧を描いた咲希さんの唇。
背中がゾクリと震え、正直…逃げ出したかった。
「光を……男にしたのはあたしよ」
想像してなかった言葉に
何も言い返せないあたし。
『男にした……』
それだけで十分意味は分かる。
だからって、それで光が咲希さんの物ってわけじゃない。
それに、あたしだって馬鹿じゃない。
それくらい……想像はしてた。
想像はしてたけど…
そうハッキリ言われると……。
うっすらと、視界がぼやける。