雨の恋路
「フッ」
咲希さんがうっすらと笑う。
「分かったなら、早く光を返して」
「そんなこと…っ―!」
「お金はここに置いとくから……。好きな時に出ていいわよ」
そう言って甘い香りと、1万円札を残して、咲希さんは帰って行った。
「バッカじゃないの……?ゼロが1つ…多いのよ」
最後まで咲希さんは、
あたしと自分との差を残して行った。
それが悔しくて、
何だか負けたような気がして……。
…-っ!!絶えられない…っ!
あたしはすぐに席を立ち、会計をすませた。
もちろん、自分のお金で……。