雨の恋路

「ひとまず……座れ」




「……うん」




光に指名された場所へ
ゆっくりと腰を下ろす。






あたしが座ったのを確認すると、
その隣に光はドスッと座った。




「……何が…あった?」



「……」




言えるわけ、ないじゃない。




  
どうして?
何であたしはこんなに弱いの?


光を信じてると言いながら、思いながら。


心の底じゃ……光を疑ってる。




まだ光は咲希さんが好きだって、あたしの心が叫んでる。





「ねぇ、ひかる?」



「ん?」




「あたしのこと……好き…ヒクッ…だよ…ね?」




どうしよう……。
涙が出て、上手くしゃべれない…。



「雨美……?」




「咲希さんの……代わりじゃ…ないよねえ?」




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