雨の恋路
「咲希さんがね……今日、来たの」
咲希が……?
「来たって何処に?」
「校門の前。あたしが出た時に『今日は雨美ちゃんに用があるの』って……」
「雨美に?……咲希は何て言ったんだ?」
俺がそう言った瞬間、
震えだす雨美の手。
その手に……
そっと自分の手を重ねる。
「大丈夫。ゆっくりで良いから」
コクンと頷く雨美を、
不謹慎だが……愛しいと思った。
今すぐ……俺のものにしたい。
そんなこと、今は許されないけれど。
雨美……?
もし次あんなこと言ったら……俺は我慢しないからな。
「咲希さんに…喫茶店に連れていかれて、光のこと聞かれたの」
「俺?」
「…うん」