雨の恋路

「何処で知り合ったとか……。どういう経緯で付き合ったとか……」



「…そう言えば……俺も前に咲希に聞かれたな」



「え?同じこと?」



「いや、内容は違うけど…雨美とのことだった」




あの時の咲希は、
何だか怖かったんだよな……。






「……咲希さん」



「え?」




「咲希さん、光のこと……返してって言ってた」




「返…して……?」




コクリと頷く雨美。

その瞳には、止まることを知らない涙が溜まっている。





「まだ、咲希さんは光のことが好きなんだって……」




「……」



何も言えなくなった……。

そんなことは、ありえない。



咲希には兄貴という彼氏がいるし、俺を振ったのだって咲希の方だ。




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