雨の恋路


軽々とあたしを抱きかかえた光は、そのままベッドに向かった。




ボスッと優しくあたしをおろすと、その上に乗りかかった。






「雨美……良いよな?」



「え、その、でも……まだ明るいし」



「電気を消せば良い」



「でも、まだ外も明るい……でしょ?」



「大丈夫。飲み物取りに行った時、丁度雨が降り出してたから」



「え?」



あたしは、もう何も言えなくなり真っ赤になると、光はニコッと微笑んで、部屋の電気を消しに行った。




パチッと電気の消える音と同時に、部屋の中は真っ暗になった。




目が見えなくなったことで耳に神経が集中し、外からはさっきまで聞こえなかった、ザーザーと雨の降る音がした。



「雨、本当に降ってるんだね」



「ああ」



最初は明るいところから急に暗くなったため何も見えなかったが、次第に目もこの暗闇になれて行き、全体が見えるようになった。




パッと光を見ると、ゆっくりとベッドに近づいて来ている。


< 174 / 278 >

この作品をシェア

pagetop