雨の恋路


「ばっ、ばか!見んなっ!」


初めてみる光の表情が嬉しくて、可愛くて、つい笑ってしまった。



「おい、コラ!笑ってんじゃねーよ!」



何て言いながらも、未だに顔が赤い光を見ていたら、笑いが止まらなくなったあたし。



「ふふ、ごめん。でも……ははっ。光かっわいー」



笑い止まないあたしを見て、
光の顔が、怒りの表情へ変わった。



「っのやろ!」


「きゃあ!?」


一瞬にして視界が変わり、目に見えたのは天井。


けれどすぐに光の顔が、
視界全体に入ってきた。



「ひか……る?」



顔の横に両手で手を拘束される。



「笑いすぎ」


「……ごめん。だから、ちょっとこの体勢は……」


「何?」


「何って、その……んっ!」



耳を軽く甘噛みされる。


「ちょ、光!?」


「嫌?」


「嫌ってわけじゃないけど…―!」


「じゃあ、良いよね」



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