雨の恋路
「咲希……さん」
あたしの言葉に、光が靴を履いて出て来たのが分かった。
「咲希……どうして…?」
光の言葉を無視し、咲希さんはあたしの顔をマジマジと見ながら話し出す。
「朝帰りなんて……ずいぶん余裕じゃない」
心なしか、咲希さんの声が震えているように感じた。
「余裕とか、そんなんじゃ……ないです」
「へー、何?とうとう光に抱かれちゃったの?」
思わず顔を赤らめ、
言葉を詰まらす。
「そっか~!やっとなんだ」
そう言ってクスクスと笑い出す咲希さん。
「どうだった?光は優しいでしょ?」
「っ…-!」
「咲希!」
光が叫び、あたしの前へ躍り出た。
「何がしたいんだ!」
「何がって?別に本当のことを伝えただけじゃない」
「何が悪いの?」とでも言う様に、咲希さんは首を傾げる。