雨の恋路
「嘘……。やめてよ、そんな嘘」
咲希さんの瞳が、大きく揺れ動く。
「あんなに好きだって言ってくれてたじゃない」
今度は気のせいなんかじゃない。
咲希さんの声が、震えてる。
「ねぇ、どうして?」
「俺は今、雨美を愛してる。雨美以外、もう考えられない」
咲希さんの瞳から目を逸らさず、
まっすぐ見つめそう伝える光。
光……。あたしは傍にいても良いんだよね?
「その子のせい?」
「え?」
咲希さんの鋭い瞳が、光を通り越してあたしに向けられる。
「その子が現れたから、光はおかしくなっちゃったの?」
「何言ってるんだよ」
「ねぇ、そうなんでしょ光!その子がいなかったらあたしのところに戻って来てくれるんでしょ!?」
そう叫ぶと同時に、すごい剣幕であたしに向かってきた。
「きゃっ!」
あたしの髪を強く引っ張り、
そのまま地面に投げ飛ばす。
「やめろ!咲希!」
「この子がいなかったら!」
「やめろよっ!」