雨の恋路
だけど……足が進まない。
手が震えて、汗が出てくる。
動いて!
お願い、動いて…!
どうしてよ!?
何で動かないのよ!
動いて。
……動け!
「雨美?」
ビクンッ―
あぁ、どうして貴方はこんなタイミングで現れるんですか?
止まった涙が、溢れ出そう。
「よかった……。連絡ないし、心配してたんだ」
「ひか……る」
笑顔で近付いてくる愛しい人。
だけど今は、会いたくなかった。
光と会った時。
つまり、あたしが別れを切り出さなければならない時。
もう……これで最後なんだね。