雨の恋路

「ごめんなさい」



そう言うと、
大きなため息をつく光。




「だから、謝るんじゃなく「そうじゃないの」



「え?」



「そうじゃ……ないの」



立ち止まったあたしに、
少し先を歩いてた光が振り向く。





「別れて……、あたしと」




そう言った瞬間、
大きく見開く目。


溢れ出そうな涙を、
必死で止める。





「何……言ってんだよ。変な冗談はやめてくれよな」



乾いた笑い声。
それをあたしが吹き飛ばす。




「冗談で、こんなこと言わない」


再び歩き出そうとした光の足が、震えだす。



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