雨の恋路


「じょ、冗談じゃなかったら何だよ。からかってんの?」


「どうしてからかう必要があるの?」



「だったら……」


「本気だよ。あたしと別れて」



「どうして…っ!?」



光があたしの肩を掴む。
その力は強くて……。



光の悲しみや驚き。
全てがそこから伝わってくる。




だけど……―



「好きじゃなくなったの。光のこと」



「え……?」



肩を掴む力が、
一気に弱まる。



「好きじゃないのに一緒にいても仕方ないでしょ?だから別れて」




光の目から、
視線を逸らさない。



逸らしちゃ、いけないんだ。



「理由を言えよ。俺何かした!?言ってくれよ!そしたら直すからさぁ!」




違うよ光。
光は悪くない。


あたしには、
勿体無いくらいだよ。

悪いのはあたしなの。
あたしが全部悪いんだよ。


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