雨の恋路

「嫌なの。咲希さんとのことも、光にそうやって愛されることも。……もう、疲れちゃった」



「う、み……?」



「もう離して」



肩に置かれえた手を、
払いのける。



傷ついた光の目に、
思わず目を逸らしてしまった。



「運命じゃ……なかったのか?」



冷静さを取り戻した光の声。
だけど、微かに震えてる。



再び光の瞳を見た時、
零れ落ちる涙を見た。



光が……泣いてる。


嫌だ、光。
泣かないでよ。
< 213 / 278 >

この作品をシェア

pagetop