雨の恋路

「何か久しぶり!何してんの?」



「外……見てた」



グラウンドを見ながらポツリと話すあたしに、圭吾はゆっくりと近付いて来た。



「城田先輩と別れたんだって?」




「…………」



冷ややかな空気が、
あたし達を包み込む。



ガタッと圭吾が机に
乗った音が聞こえた。



圭吾の視線が痛い。
嘘ついたり……出来ない。





「別れたく……なかったんだけどね」



「うん」



「光を、傷つけたくなかったの」



「うん」




「でもね、本当にこれで良かったのかな?って思うようになって……」



「うん」



「だけどね、思った時には……もう遅かったの」


あたしの頬に
一粒の涙が伝う。



そう、もう遅い。
駄目なんだ……。

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