雨の恋路

しばらくして泣き止んだあたしに、圭吾はそっと声を掛ける。



「大丈夫か?」


「うん……ごめんね。部活だったんでしょ?」



「いいよ、そんなの」



圭吾の強い眼差しが
あたしの瞳を鋭く捕らえる。




「あ、あたしもう平気だから!ありがとう、帰るね」



〈これ以上、一緒にいちゃいけない〉

そう思って早々に教室を出て行こうとしたあたしを、圭吾の力強い腕がそれを許さなかった。




「け、圭吾?」



「待ってて、送るから」



「え!いいよ、そんなの……。迷惑かけれないから」




「俺が心配なんだ。着替えてくるから待っててくれるか?」



「いや、だから―」



「いいから待ってろ!良いな!?」



教室に響く圭吾の声。


圭吾、本気であたしのこと
心配してくれてるんだ……。




「……うん……」


小さくそう呟くと、
ホッとした圭吾の顔。


「じゃあ、すぐ来るから!ちゃんと待ってろよ?」


そう言い残し、
圭吾は教室を出て行った。

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