雨の恋路
「でもね、あたし…泣けなかったの。だから……嬉しい」
そう言った彼女の笑顔はとても眩しくて綺麗で、何より可愛かった。
「そっか……」
「ありがとう」
お礼を言わなきゃいけないのは、俺の方だ。
完ぺきには抜け出せなかったあの日から……やっと今日、抜け出せるような気がするよ。
そして彼女は服を
整え始めた。
帰るの……か。
「じゃあ帰るね」
「送ってくよ」
正直……まだ別れたくなかった。
もう少し一緒にいたいと思った。
「大丈夫、もう平気。あなたのおかげで……」
以外な返事に拍子抜け。
一緒にいたかった俺は、
少なからず胸が苦しくなった。
けど、まぁ良い。
学校同じなんだし、
いつでも見つけてやるからな…!
「……分かった。気をつけて帰れよ」
俺はそんな意を
笑顔に込めてそう言った。
外では雨がやんでいて、
綺麗な虹が顔を出していた。