雨の恋路

まだ……かな。



あれから20分。
圭吾が来る気配はない。




何かあったのかな?

不安になって廊下へ出ようとした時、かすかに男の人と女の人の声が聞こえたあたししは、咄嗟にドアへと隠れる。




あたし……何してんだろ。
隠れる必要なんてないのに。




「別に良いけど」




って、え……?
この声って……



「本当!?嬉しい~♪」



光の……声?
まだ、いたんだ……。



「ねぇ、光~?美穂のこと、好き?」



え……?
嘘、いやだ。



「…………」



「ねぇ、好き?」



「ああ」




ひか……る…

やっと止まった涙が、
再び頬を伝い零れ落ちる。





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