雨の恋路
分かってた……
分かってたことじゃない。
泣くな……泣くな…―!
ガラッ―
その時、あたしが背もたれにしていたドアが、勢い良く開いた。
「雨美……?」
「……けーご」
「何……泣いてんの」
「ご、ごめっ、何でもないから…っ」
「何でも無いはず無いだろ!?」
大きくそう叫ぶと、圭吾は泣き止まないあたしを強く抱きしめた。
「何が、あったんだ?」
「本当……何でも無いの」
そう言ってあたしは、
圭吾の胸を強く押しのけた。
「雨美?」
「ごめんね、大丈夫だから」
「でも、「早く帰ろう!」
何か言いたそうな圭吾の言葉を遮って、あたしは教室を出た。
傷ついちゃいけないの。
あたしから光を
手放したんだから……