雨の恋路
「あ……あっぶねー!何だよ、今の車!なぁ?う……み」
緊張を溶かすようにわざと明るく言い放ち、雨美へと問いかけた……はずだった。
「雨美……どうした!?」
振り返った先にいた雨美は、しゃがみ込んだまま震え、涙を流していた。
「雨美!?大丈夫…―」
パシッ―!
雨美に触れようとした手は、
大きな音を立て、払われた。
「雨美……?」
「あ…け、ご……ヒッ…ご、ごめっ……」
払われた手を、
ただ呆然と見つめる。
これが現実。これが真実。
これが雨美の……本当の気持ち。
でも…それでも……!
俺は震える雨美の体を、
思いっ切り強く抱きしめた。
「け、圭吾!?あ……い、嫌だ…っ!」
「落ち着け!落ち着けよ!」
それでもやっぱり……
俺は雨美をほっとけない。
お願いだ、雨美。
1人で傷つかないでくれ。
今だけ、今だけで良い。
俺が支えになるから…-