雨の恋路
「ありがとう、圭吾」
無事に家に着き、
玄関で雨美が振り返る。
「いや、気にすんな」
「……じゃあ…」
俺に少し微笑んだ後、雨美は家の中へと消えていった。
「何で……雨美なんだよ」
俺は……1年の時から
雨美が好きだった。
城田先輩と雨美が
付き合うずっと前から。
好きになったのは入学式。
つまり俺の一目惚れ。
それから俺はいつだって雨美だけを見てた。
友達と話してる時
先生に怒られてる時
体育でこけた時
城田先輩といる時―
俺は雨美が好きだ。
だけど、俺が好きな雨美は、
いつも笑顔だった。
俺はな、雨美?
雨美の笑顔が
大好きなんだ。