雨の恋路
お昼休み。
お弁当を食べ終わると、亜由ちゃんが先生に呼ばれたので、トイレに行くことにした。
長い廊下を歩いて行くと、
急に名前を呼ばれた。
「雨美ちゃん!」
咄嗟に振り返ると、そこに
いたのは洋平先輩だった。
「洋平先輩……」
「今、良いかな?」
「……はい」
先輩に呼ばれ、
向かった先は屋上。
ちらほらと人はいるものの、端にいたり、話に盛り上がっていたり、あたし達には全く気付いていない。
「あの…それで、何ですか?」
「本当は、首を突っこむつもりはなかったんだけど……」
洋平先輩がバツの悪そうな顔で、あたしに話し掛ける。
「光のこと…なんだけど……」
「…………。」
「やっぱり、光は雨美ちゃんじゃないと駄目なんだ!今の光は光じゃないんだよ……」
「っ……!」
「何があったは知らない。でも光には雨美ちゃんが必要だ。雨美ちゃんも、本当はまだ光が好きなんだろ?」
先輩の真剣な目…。
誤魔化したり、出来ない。
いや、しちゃいけないんだ。
静かにコクリと頷いた。
その瞬間、洋平先輩が
嬉しそうに笑顔になる。
「だったら―!」
「でも!」
「え…?」
光は…本当にあたしを必要としているかなんて、分からない。
どうしよう……。
急に怖くなってきた……