雨の恋路
拒絶されても良いから本当のこと言うって決めたのに、結局怖いって逃げるあたし。
矛盾してる……。
その時その時で違う
感情が生まれてくる。
どうすれば良いか…
分かんなくなった……。
「光は……きっとあたしじゃなくても大丈夫です。今、大事にしてる人がいるじゃないですか」
ニコッと笑ったあたしの顔が、
本当に笑顔だったかは分からない。
だけど、今すぐその場から
逃げ出したかったから……
ごめんなさい、洋平先輩。
「それじゃあ、失礼します」
「雨美ちゃん!」
バタン―
先輩の呼びかけに振り返ること
なく、あたしは屋上を後にした。
「他の奴じゃ、駄目なんだよ…」
洋平先輩の乾いた叫びは、
青空へと消えて行った……