雨の恋路
「疲れった…なんて、う、嘘なの!」
疲れたって良い。
光が傍にいてくれるなら。
「好き、じゃないなんてっ…嘘、なの!」
そんなこと、
一度も思ったことない。
「別れたく!ッなんて…なかった…ッの!」
そんなこと、
想像したことも無かった。
「光のことッ、ずっと…好っ…-」
『好きなの…』
そう続くはずだった言葉は、
光の強く暖かい腕で遮られた。
強く、強く抱きしめられるあたし体。
これは、夢……?
あたし今、光に抱きしめられてるの?
違う、夢じゃない。
この温もりは幻なんかじゃない。
「ひ、ひか……」
「もう、黙って……?頼む…。雨美を、確かめさせて…」
そう言って痛いほど抱きしめられるあたしの体。
溢れ出た涙が、
光の肩を濡らす。
もう、光と離れたくない。
あたしはそっと
光の背中に腕を回した。