雨の恋路

しばらくの間、お互い何も話さずにただ抱きしめ合っていた。



離れていた時を、
取り戻すかのように…



ふいに抱きしめる力が強くなった。


光…?



「どうして……」


「え?」


「俺のことが好きなら、気持ちが変わってないなら…どうして、どうして別れるなんて言ったんだ?」



「…………。」



「言えない…のか?」



そうだ。あたしは一番大事
なことを伝えていない。



話すことで、もしかしたら
光は離れて行くかもしれない。


でも、言わなきゃいけないんだ。
分かってる、分かってるけど…-!




「もしかして、俺が他に女作ったから?自分の物だったものが取られるのが嫌だったから急にまた好きって?」



少し自嘲気味に言う光に、
胸が強く痛んだ。


そんなわけないのに……!
今のままじゃ何も生まれない。
あたしが言うしか…それしかないだ。


このまま黙ってても、
光はまた離れて行く。


だったら全て…-!

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