雨の恋路
「あの日……」
「え?」
「光が、渡したい物があるからって早く来て欲しいって言われたあの日、あたし……寝坊しちゃって」
光の顔を見ない様に俯いて、
それでもって少し笑いながら話す。
そうでもしないと、
今にでも泣いてしまいそうで。
「急いで出たんだけど間に合いそうになくて。だけど、光に早く会いたくて……」
駄目……
声が震えてきた…っ
「普段は使わない道をね、行くことにしたの。そっちの方が、近道だから」
何て……言えば良いんだろう?
『守る』と言った光の言葉。
光のせいじゃない。
そう、光のせいじゃないの。
だけど、何て言えば良いか分からない…っ!
「その日……」
「え?」
「その日は、雨美が来なかった。何度連絡しても出なくて、理由も結局分からないままで……。その翌日、俺は、雨美に振られた」
「…………。」
「何なんだよ、雨美!お前が隠してることって一体…っ!?」